安藤忠雄氏設計「ヴァレーギャラリー」、直島に2022年3月開館

ベネッセホールディングスはベネッセハウス(香川県香川郡直島町)の開館30周年となる2022年、新たに 2つのアート施設「ヴァレーギャラリー」「杉本博司ギャラリー 時の回廊」を開館すると発表したのでメモしておきます。(プレスリリース[PDF]|photo:李禹煥美術館から瀬戸内海)

ベネッセアートサイト直島における安藤忠雄氏設計の9つ目の建築となる「ヴァレーギャラリー (Valley Gallery)」(延床面積:96.25m²)は、ベネッセハウスと地中美術館の間にある、李禹煥美術館向かいの山間に位置します。祠をイメージした安藤忠雄設計の半屋外建築と、その周辺の屋外空間一帯を含めたヴァレーギャラリーの整備により、自然の中に点在するベネッセハウスの各棟や美術館施設が繋がり、鑑賞者にエリア全体のランドスケープの体感を促し、海だけでなく、改めて季節ごとに異なる顔を見せる豊かな山の植栽を楽しめます。建物内外では芸術家 草間彌生氏の《ナルシスの庭》が大規模に展示され、2006年より池の横に恒久展示されている小沢剛氏の《スラグブッダ88 -豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88体の仏》も一部改変され、自然・建築・アートの共鳴をより深く体験できます。

安藤忠雄氏のコメント
プロジェクトは福武總一郎氏らと共に、敷地を確認することから始まった。そして決まったのが、李禹煥美術館のある倉浦に向かう谷筋の一角、春先にはヤマツツジに覆われる斜面に囲われた美しい場所だ。建物は、地形に応じて30度に開いた台形平面を持つ。コンクリートの壁による二重構造を成す建物は、12mm厚の鉄板屋根で覆われる。鉄板にはシフトや切込みといった幾何学的操作により開口が穿たれており、建物内部に、雨や風、光といった自然の呼吸をそのままに取り入れる。小さくとも結晶のような強度をもつ空間をつくろうと考えた。

そして、2006年に開館したベネッセハウス パークにおける杉本博司氏の作品空間をさらに拡大・整備した「杉本博司ギャラリー 時の回廊 Hiroshi Sugimoto Gallery:Time Corridors」は、杉本氏の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞・体感できる世界唯一のギャラリーで、ベネッセハウス パークにおける杉本博司作品の展示空間を周辺のラウンジやボードルーム、屋外にまで拡げ、杉本の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞できる世界的にも他に例をみないギャラリーとなります。ベネッセアートサイト直島の黎明期より様々な形でアート計画に参加してきた杉本の当地との関わりを背景に、既存の《松林図》や《観念の形 003 オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面》などに、主要な写真シリーズや、ヴェニス、ヴェルサイユ、京都で展示され人々を魅了してきた硝子の茶室《聞鳥庵》が新たに加わります。また、ラウンジおよびボードルームは杉本が主宰する新素材研究所のデザインによりカフェ機能も備えて、一新されます。

[ 関連するサイト ]
ベネッセアートサイト直島
安藤忠雄建築研究所
Hiroshi Sugimoto

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