マンハッタンのペントハウスⅢ – 設計:安藤忠雄建築研究所

アメリカ・ニューヨーク州で建築家 安藤忠雄氏が設計した『マンハッタンのペントハウスⅢ (Penthouse Ⅲ in Manhattan)』が住宅特集2020年4月号(新建築社)に掲載されたのでメモしておきます。(photo:Lexington Av, NY)

『マンハッタンのペントハウスⅢ』は、ニューヨークで1912年に建てられた地上12階建ての鉄骨一部組石造のビルの最上階と屋上の改修計画で、屋上にはガラス張りのペントハウスを増築し、石張りのテラスを拡張しています。さらに北側一面に設けられた「緑の壁」は、フランス人アーティスト パトリック・ブラン氏によるものです。

本計画では、建築方法や外見の美しさ、歴史的背景を持つ建築の保護を目的としたランドマーク (歴史的建造物)認定を受けているため、改修の認可を受けるに大変な障壁を乗り越え、2013年の計画開始 (工事は2014年)から実に6年もの歳月を掛けて完成しました。建物の最上階である12階は、ギャラリー、リビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、ベッドルームなど生活機能が主で、リビングルームから螺旋状の階段を上がると屋上に増設されたガラスで囲まれたペントハウスに至ります。

北側に設けられる建物の全幅に伸びるフランス人アーティスト パトリック・ブラン氏による「緑の壁」は、このガラスのペントハウスを東西に貫き、その長さと連続性を強調しています。パトリック・ブラン氏は、1988年に人工土壌による緑化システム「ベジタル・ウォール (Vegetal Wall)」を発明し、建築の壁面などに植栽を施す「バーティカル・ガーデン (垂直庭園)」のパイオニアとして知られています。

この改修計画は、1996年に安藤氏が発表した計画案「マンハッタンのペントハウス (未完)」に端を発した高層ビルに住居となるペントハウスを増築するという計画が切っ掛けとなり、ニューヨークで20年以上現代芸術のギャラリーを営む施主の「住居そのものをアートに」という強い意志と執念で結実したと言えます。

マンハッタンのペントハウスⅢ courtesy of Jeff Goldberg(Esto)©Shinkenchiku-Sha Co., Ltd.
マンハッタンのペントハウスⅢ
所在地:アメリカ ニューヨーク州
設計者:安藤忠雄建築研究所
敷地面積:775m²、建築面積:6,840m²、延床面積:235m²、屋上テラス面積:182m²
構造:鉄骨造・一部組石造、階数:地上12階・地下1階
竣工:2019年8月 (既存建物は1912年建造)

[ 関連するサイト ]
安藤忠雄建築研究所
新建築住宅特集|新建築.online

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