イズマイル・バリー展、銀座メゾンエルメスで開催

東京・銀座の銀座メゾンエルメス フォーラムでは、ゲスト・キュレーターにギヨーム・デサンジュ氏を迎え、パリとチュニスを拠点に活動するイズマイル・バリー氏による個展『みえないかかわり』が2019年10月18日(金)から2020年1月13日(月・祝)まで開催するのでメモしておきます。(photo:銀座メゾンエルメス)

ギヨーム・デサンジュ (Guillaume Désanges)氏はブリュッセルのエルメス財団のギャラリー「ラ・ヴェリエール (La Verriére)」のキュレーターであり、本展は同ギャラリーで開催されたイズマイル・バリーの展覧会「Des gestes à peine déposés dans un paysage agité (ゆらぎの風景、微かな仕草)」(2018)で試みた知覚への実験的なアプローチを継続する形で展開します。

イズマイル・バリー氏は2000年代の終わりから活動をはじめ、最小限の状況設定と身ぶりに基づく一連の作品を制作してきました。用いる素材の本質から事物をとらえてゆく静謐な作品は、ある種の魔術を呼び起こすような啓示に満ちた仕草を扱っているようにも感じられます。例えば、揉みしだかれてゆく雑誌のページ。くしゃくしゃになった紙からは、インクが手にうつり、印刷された画像が少しずつ消えていく様子。あるいは、目に見えないように張られた糸。その上を水滴がつたわるときのたわみによってだけ、糸はかろうじて形を現し、空間には徐々に水たまりを形成してゆく様子。また、グラスに入れたインクの表面やレンズの前に設置された紙片の白の陰影から街の風景を見ること、など。バリー氏は、これらの出来事の予期しないアクシデントやディテール、瞬間的な変化などに細やかな注意を向け、厳密な手順によって作品を作ってゆきます。それらは常に直感的な試みから湧き上がり、時間枠が拡張されたある異なる地平の空間へと導きます。

本展「みえないかかわり」において、銀座メゾンエルメスの建築は、出現しては消滅する外の世界をとらえる一種の光学装置へと変貌を遂げるでしょう。インスタレーションは、新作の映像を中心に、オブジェ、ドローイングなど、異なる形式の作品で構成されます。いずれの作品も光そのものをどのように知覚するのかということを、視覚を抽象化した装置の内外から問いかけるような試みです。精緻な論理に基づく実験と観察によって生じた偶発的な光と陰の戯れは、可視と不可視の間で揺れ動く不安定な関わりを露わにします。バリーの知覚実験は、事物の表層に隠された言語に絶する不安と、不明瞭な世界と適切な距離を保ちながらどう関わっていくかを問いかけます。

イズマイル・バリー (Ismaïl Bahri)氏は、1978年、チュニス (チュニジア)生まれ。現在はパリとチュニスを拠点に活動。写真や映画の原理を用いた精緻な視覚実験や、ミニマルで儀式的な身ぶりから啓示的に創出される現象や痕跡などを通じ、目に見える事物や知覚そのものの儚さを問いています。映像表現を中心としつつ、ドローイングやサウンドなどさまざまな形態の作品を手がけています。

「みえないかかわり」イズマイル・バリー展
会期:2019年10月18日(金)~2020年1月13日(月・祝)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム (map)
開館時間:月~土 11:00~20:00、日 11:00~19:00 ※12月の一部期間は16:30まで
休館日:不定休 ※年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる
入場料:無料
問い合わせ:Tel.03-3569-3300

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