東京・銀座の銀座メゾンエルメス フォーラムでは、エルメス財団と東京国立博物館による共同企画展『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』が2024年9月7日(土)から2025年1月13日(月・祝)まで開催しているのでメモしておきます。(photo:銀座メゾンエルメス)
本展は、東京国立博物館にて、9月23日(月・祝)まで開催されていた同名の展覧会と一連の流れを持って構想されたもので、会期を一部重ね合わせながら、ひとつの大きな円環を描くというかたちで展開します。
「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」を、一貫した問いとして作家活動を続けてきた美術家 内藤礼氏は、光や影、水や大気のうつろいがもたらす生と死のあわいに、日々見過ごしがちなささやかな事物や情景、知覚しがたい密やかな現象を「根源的な生の光景」として、私たちの中に結び付けることで、深い体験をもたらします。
歴史ある建築物とさまざまな年代に制作された膨大な文化財を所蔵する東京国立博物館の環境とは対照的に、銀座メゾンエルメスの近代的な建築内にあるフォーラムには、ギャラリー所蔵の作品群はありません。都市の中心部に浮かび、一見、空っぽのようにも感じられる空間は、ガラスブロックを通じた自然光とともに街からもたらされる人工の光や色彩に満ち、また過去から隔てられた場所でもあります。内藤氏は、光のうつろいによって、一層はかなく、また色濃く感じられる生への眼差しを、この場所へかりそめに宿らせ、そこに「生の没入」を見出そうとします。
連続する二つの会場は、絵画や立体作品によって繋がる構成をとっています。とりわけ、2023年から24年の間に日々作家のアトリエで制作された絵画《color beginning/breath》のシリーズは、展覧会へと向かう作家の生の刻として、物理的な時間の不可逆性を示し、両会場を結ぶ円環の語りの一軸を形成します。東京国立博物館で縄文時代の土製品や獣骨と出会い紡がれた親密な時間やままごとの痕跡、数々の展示室を巡る回路からもたらされた記憶、それらは、会期を完全に重ねることのない本展においても、作品の断片や空気、眼差しの間に交差する時空を形成し、空間に佇む人や低い位置に設置された《座》に身を寄せる人の姿を通して、超越的な協和を浮かび上がらせます。
内藤礼氏は、1961年広島県生まれ、現在東京を拠点に活動。これまでの主な個展に「breath」(ミュンヘン州立版画素描館、2023年)、「うつしあう創造」(金沢21世紀美術館、2020年)、「明るい地上には あなたの姿が見える」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2018年)、「Two Lives」(テルアビブ美術館、2017年)、「信の感情」パリ日本文化会館(2017年)、「信の感情」東京都庭園美術館(2014年)、「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」(神奈川県立近代美術館 鎌倉、2009年)、 「Being Called」(カルメル会修道院/フランクフルト近代美術館企画、1997年)、 「地上にひとつの場所を」(第47回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館、1997年)、 「地上にひとつの場所を」(佐賀町エキジビット・スペース、東京、1991年)。
恒久展示作品に《母型》(豊島美術館、2010年) 、《このことを》(家プロジェクト きんざ、ベネッセアートサイト直島、2001年)。
2019年第69回芸術選奨文部科学大臣賞(美術部門)、 2018年第60回毎日芸術賞、 2003年第一回アサヒビール芸術賞、 1994年日本現代藝術奨励賞(インスタレーション部門)受賞。
会期:2024年9月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階 (map)
開館時間:12:00~19:00
休館日:水曜日、10月24日(木)
入場料:無料
問い合わせ:Tel.03-3569-3300
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