日本の民家 一九五五年展、GAギャラリーで開催

東京・千駄ヶ谷のGAギャラリーでは、自らの足で現地へ赴き、その眼で建築を捉えるスタイルを生涯貫いた二川幸夫氏の原点である、日本の民家の写真約70点を展示する『日本の民家 一九五五年展』が2023年9月30日(土)から12月24日(日)まで開催されているのでメモしておきます。(photo:GAギャラリー)

本展は、2013年、パナソニック汐留美術館と青森県立美術館にて行われた展覧会を、構成を新たにGAギャラリーにて開催するものです。

【パナソニック汐留美術館 (2013年)の展覧会概要より】
この国の自然と風土、歴史と文明のなかから生まれ、育まれてきた庶民の住まい「民家」。モダニズムの建築や今日の住宅を考える上でも、私たちの原点といえるでしょう。一方で快適で合理的なライフスタイルを優先する現代的な感覚にはそぐわなくなり、いにしえの民家は日本の風景から確実に姿を消しつつあります。

1957年から59年にかけて発行された『日本の民家』全10巻は、日本が国際的な経済発展に向けて飛躍しようとしていた頃に、あえて民家の最期の美しさにカメラを向けて、世間を瞠目させました。大地とつながる民家の力強さ、そしてそこに蓄積された民衆の働きと知恵をとらえた280点のモノクロ写真は、現在、国際的に高く評価される二川幸夫が20歳前後に撮影したものです。文章は当時新鋭の建築史家、伊藤ていじ(1922-2010)が著しました。

二川幸夫は確かな評価眼を通して見たものを建築写真として定着し、自ら主宰する出版社を中心に発表してきました。優れた建築を追って世界中を駆け巡り、比類のない作品を精力的に残してきた彼の建築の旅の原点は、この『日本の民家』にあります。

本展は1955年にさかのぼって、若き日の二川幸夫がとらえた貴重な民家の姿、そして日本人の本来の逞しさと しなやかさを、選び抜いた約70点の作品にご覧いただきます。ここに見るような建築のあり方を、これからの 日本で再構成することはできるのでしょうか―そんな想像がふくらむ展覧会です。

二川幸夫氏は、1932年11月4日大阪市生まれ。大阪市立都島工業高等学校で建築を学び、早稲田大学文学部に進み、美術史を専攻。在学中、同大学教授で建築史家 田辺泰氏の示唆を受けて飛騨高山の古民家を訪れ、これをきっかけに日本各地の民家の撮影に着手しました。約7年にわたって続けられた取材は、「日本の民家」(文・伊藤ていじ、美術出版社、全10巻、1957-1959年)として刊行され、1959年、第13回毎日出版文化賞を受賞。以後、建築写真家として古典的な建築物から現代の建築家の作品まで、国内外の多様な建築の撮影を重ねました。

1970年、建築専門の出版社「A.D.A. Edita Tokyo」を設立。企画・編集・撮影をてがけ、数多くの書籍、雑誌を刊行。その多くは日英併記であり、上質な写真によって海外の建築を紹介するとともに日本の建築を国際的に発信するうえで大きな役割を担いました。出版活動も含めた活動は国際的にも評価され、1975年アメリカ建築家協会(AIA)賞、1985年国際建築家連合(UIA)賞、1997年日本建築学会文化賞など国内外から多くの賞を受けたほか、1997年に紫綬褒章、2005年には旭日小綬章を受章。

二川幸夫「日本の民家 一九五五年展」
会期:2023年9月30日(土)~12月24日(日)
会場:GAギャラリー (map)
開館時間:12:00~18:30 ※会期中無休
入場料:600円
問い合わせ:Tel.03-3403-1581

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