第37回高松宮殿下記念世界文化賞建築部門、ダニエル・リベスキンド氏が受賞

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の第37回受賞者が、2026年9月8日(日本時間8日18:00)、パリ、ローマ、ベルリン、ニューヨーク、ロンドン、東京の各都市で発表されましたのでメモしておきます。(photo:National September 11 Memorial & Museum|プレスリリース)

今年の受賞者には、言語を用いたインスタレーションを通じて社会の真実を可視化した作品で知られるコンセプチュアル・アーティストのジェニー・ホルツァー氏、石や枝などの自然を用いた作品を通じて人間と自然との関係を問い続ける環境アーティストのアンディ・ゴールズワージー氏、歴史や記憶を主題として過去と未来を結び付ける建築を追求してきた建築家のダニエル・リベスキンド氏、作品への深い敬意と明晰な解釈に基づく演奏で100歳を迎えようとする現在も音楽界を牽引する指揮者のヘルベルト・ブロムシュテット氏、卓越した演技力と幅広い表現力で映画と舞台で活躍するとともに人道支援活動にも取り組み、芸術と社会貢献を結び付ける存在として広く尊敬を集めている俳優のケイト・ブランシェット氏が選ばれました。

また、同時に発表される第29回若手芸術家奨励制度の対象団体には、パリなどのフランス各地を拠点に、芸術を通じて子供の創造性や社会参加を育むフランスの芸術教育団体、ラ・スルス・ガルースト協会が選ばれました。

建築部門受賞者の建築家 ダニエル・リベスキンド (Daniel Libeskind)氏は、1946年5月12日、ポーランド・ウッジ生まれ。米・ニューヨークのクーパー・ユニオン。イギリスのエセックス大学で建築を学んだ後、欧米各地の大学で教鞭をとり、長年「建てない建築家」として独創的な図面を発表してきましたが、1989年に「ベルリン・ユダヤ博物館」の国際コンペで優勝し、実作を手がける建築家として世界的な注目を集めました。1998年に「フェリックス・ヌスバウム・ハウス」(ドイツ)、2003年には米ニューヨーク同時多発テロ跡地 (グラウンド・ゼロ)の再開発コンペでマスタープランに勝利。元の場所にビルを戻そうとする周囲の規範に反抗し、タワーの痕跡を「聖なる空虚」として保存。利害が交錯する高密度な都市の中心に「不在」を据え、滝で喧騒を遮断することで、市民が一人で歴史の重みと向き合い、未来へ視点を組み替える自由な公共空間を現出させる基本計画としました。

現在、アインシュタインの生誕地である南ドイツ・ウルム市で「アルベルト・アインシュタイン・ディスカバリー・センター」のプロジェクトが進行中で、科学的業績や平和主義の精神を伝えるこの最先端施設は、過去の記憶を紡いできたリベスキンドが、偉大な科学者の精神を通じて未来への探求を語りかける、新たな道標となるでしょう。

「建築も音楽と同様に身体そのものと結びついている」と語るように精緻な聴覚と身体感覚を持ち、アルゴリズムに支配されない手描きにこだわり続け、次世代には「他人の流れに従わず、リスクを恐れず夢を追え。失敗のほうが大きな意味を持つこともある」と訴え、過去の重みを引き受けながら「建築は沈黙が支配する場所で語らねばならない」と説いてます。

[ 関連するサイト ]
高松宮殿下記念世界文化賞
Studio Libeskind | Architecture | Design

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