髙田 安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方、資生堂ギャラリーで開催

東京・銀座の資生堂ギャラリーでは、一卵性双子のユニットで活動するアーティスト 髙田安規子・政子の個展『髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方』が2025年8月26日(火)から12月7日(日)まで開催しているのでメモしておきます。(photo:東京銀座資生堂ビル)

両氏は、身近な素材を用い、空間や時間の「スケール (尺度)」をテーマに制作。作品は、数学や物理学的アイデアを背景に繊細な手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現されます。また、展示する場所をリサーチし、その特性を生かした展示を行うことでも知られています。

2024年、資生堂の文化施設である資生堂企業資料館、資生堂アートハウスの両施設 (静岡県掛川市)を訪れ、資生堂の社名の由来である易経 (えききょう)の一節「至哉坤元 万物資生 (いたれるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)に出会いました。自分たちの自然観と重なり合うことから、本展では、「万物資生」の考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的・微視的に捉え可視化することを試みます。

展示の中心となるのは、本を積み重ねて地層に見立てた新作《Strata》。地層は、生物の生態や自然環境の情報が刻み込まれた「歴史書のようなもの」という例えから着想を得て、資生堂ギャラリーの小展示室の床から踊り場の床下までつながる本棚に、約500冊の本と、そのあいだに鉱石や化石を配置し、生物の誕生から人新世までの時と知の連なりを表します。同じく新作となる《Timepiece》は、割れた砂時計からあふれ出した砂、石、岩で構成され、時間の概念について考えさせると同時に受け継がれていく生命、あるいは生命の終焉を想起させます。また、自然界に広くみられるフラクタル形態を用いて自然の摂理における「個」と「全体」について言及した《Can’t see the forest for the leaves》 、すべての生命の源となる光をテーマにした《Spectrum》など、新作とこれまでの作品を再構成したものを中心に約20点展示します。

本展のために、髙田安規子・政子の両氏は、これまでの作品に通底する考えを整理し、リサーチを深め、新たな展開を図りました。宇宙の誕生から、生物が進化してきた時の連なり、人類の活動の軌跡や蓄積、個と全体の相補的な関係に目を向け、多様な存在とともにあるこの世界を捉え直します。そして、様々なPerspective (視点・観点・展望)から、予測される悲観的な未来を超える希望を見いだし、自然界を含めた人類全体の共存共生と持続可能性を考える機会となります。

髙田安規子・政子は、1978年東京生まれ。2001年、多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業 (安規子)、造形大学美術学部比較造形学科卒業 (政子)。2005年ロンドン大学スレード美術学校 人文学部彫刻科修士課程修了 (安規子・政子)。主な個展:2010年「クリテリオム 78」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)、2022年 「Going Down the Rabbit hole」MA2ギャラリー、2023-24年 府中市美術館 公開制作88 髙田安規子・政子「くり返すカタチ」。主なグループ展:2010年「BigMinis」(ボルドー現代美術館)、2014年MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」(東京都現代美術館)、2015年「線を聴く」(銀座エルメスフォーラム)、「春をまちながら やがて色づく景色をもとめて」(十和田市現代美術館)、2016年「さいたまトリエンナーレ2016」、 2017年「装飾は流転する 今と向きあう7つの方法」(東京都庭園美術館)、2019年「センス・オブ・スケール」(横須賀美術館)、2021年「日常のあわい」(金沢21世紀美術館)、2023年「部屋のみる夢-ボナールからティルマンスまで」(ポーラ美術館)に参加。

髙田 安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方
会期:2025年8月26日(火)~12月7日(日)
会場:資生堂ギャラリー (map)
開館時間:平日 11:00~19:00、日・祝 11:00~18:00
休館日:毎週月曜日
入場料:無料
問い合わせ:資生堂ギャラリー Tel.03-3572-3901

[ 関連するサイト ]
資生堂ギャラリー
髙田 安規子・政子

スイッチ・パブリッシング (著)
¥1,760 (2025.10.15)
Amazon.co.jp

コメントを残す